2012年04月08日

『プラネタリウム』

梨屋 アリエさんの『プラネタリウム』を読みました。

プラネタリウム (講談社文庫) [文庫] / 梨屋 アリエ (著); 講談社 (刊)

今回も短編集。不思議な話が多いです。恋する気持ちが欠片になって空から降ってきたり、泣きすぎて自分が溶けて水たまりになっちゃったり、月に帰りたい女の子と森になりたいその友達がいたり、常に地面から15センチ浮いている男の子が出てきたり。
そういう非現実な設定があるかとおもいきや、それぞれが考えていることはとっても現実的で、恋をしたことがないと悩んでみたり、失恋して大泣きしたり。

こういうのはライトノベルって言ったらいいのかな。いろんな本を読む、その本と本の隙間にこういうのを1冊読むのはいいけど、私にはちょっと軽すぎて、物足りない感じがしました。どうでもいいことなのかもしれないけど、登場人物の名前がどことなくぶっとんでて、「青海」でセイガイさんとか、「衣生」ちゃんとか、よみがながないと読めない名前が多くて、えっ、最近は小説でもこうなの!?と変なところにツッコミをいれてしまいました。DQNネームっていうんだっけ、こういうの?せっかく読み進めても、途中で「あれ、この人の名前なんて読むんだったっけ」ってまた最初に戻って名前の読み方を確認しなきゃいけないのは、すごく盛り下がります。うーん。



さて、今日はとってもいいお天気でした。
風もあんまりなかったし、ほんと心地よい春の日って感じ!リビングの窓を開けて、ひなたぼっこしながら読書できるなんて、幸せの極みです。あぁ、春っていいなぁ!!!


posted by かずみ at 22:52| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月06日

『こちらの事情』

森浩美さんの『こちらの事情』という本を読みました。
短編集ですが、とってもよかったです。

こちらの事情 [単行本] / 森 浩美 (著); 双葉社 (刊)

思春期の娘と父親の対立とか
母親の介護をめぐる兄弟の関係とか
息子になるはずだった命を流産で失った家族とか
養女として育ててくれた母との旅行とか
急逝した妻の遺品に思いがけないものを見つけた夫とか

切なかったり、哀しかったり、ほろ苦かったりするけれど、最後の一幕には必ず光や救いがあるお話ばかりです。
重松清さんの小説の雰囲気に似てるかも。
姉妹編もぜひ読みたいと思いました。

母親を施設に入れることになり、すまなそうにする息子に向かって母親が「お前は人様に後ろ指さされるようなことをせず立派に育って家庭をもった。それだけで十分親孝行だ。おまえの手は2つしかないのだから、いろんなものをたくさん持つことはできない。大事なものを持っていても、もっと大事なものができたら、先に持っていたものは手放さなきゃいけない。荷物を持つには順番がある。順番を間違えると、それは大事な荷物ではなく”お荷物”になってしまう。親に育ててもらったら、今度は子供を育てる。それが順番。今お前が大事にしないといけないのは家族と仕事。お前は娘のために一生懸命働けばそれでいい」と言った場面が印象的でした。こんなことを言える母親になりたいなぁ。
posted by かずみ at 22:33| Comment(2) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月13日

ブックレビュー:半夏生

半夏生―秋山佐和子歌集 [単行本] / 秋山 佐和子 (著); 砂子屋書房 (刊)

私はどちらかというと短歌が好きです。図書館の『俳句・短歌』のコーナーに行っても、ついつい短歌の歌集を手にとってしまう。

この歌集は、秋山佐和子さんの短歌を集めたものです。
秋山佐和子さんがどんな方かは存じませんが、歌を拝読する限り、ちょっと年配で、上品な方?歌に旧仮名遣いを織り交ぜているので、少し古風な感じもします。

いろんな歌が収められていますが、なんとなく、秋の夜長に読むのにいい歌集。
いいなと思った歌をいくつか紹介しておきます。
ベランダに月仰ぐ子は背伸びして 内緒ごとひとつ聞かせてくれたり

よもぎの葉ちぎりてかをる指先を 夫に差し出す土手に座りて

何もかも覚えておかう春らんまん 桜の堤を歩みしけふも

ひったりとわが胸に来しみどりごの 命の重み丸ごといだく
posted by かずみ at 22:17| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年10月28日

ブックレビュー:きみの友だち


きみの友だち

きみの友だち

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/10/20
  • メディア: 単行本



友だちをめぐる、一連の短編集。
小学校のときのこと、中学校のときのこと、そのときの友だちのこと、いろいろな思い出がところどころでダブって、切ないような、ほろ苦いような気持ちになりました。
将来、知花ちゃんが友だち関係で悩んだら、薦めてあげたい1冊です。

いい場面はたくさんあったけど、1つだけ紹介。

『別れの曲』
どれだけがんばってもレギュラーになれなかった腹いせに、引退したサッカー部の練習にちょっかいをだした結果、後輩に怪我をさせてしまった男の子(文中では「きみ」)。後輩が搬送された病院での、その後輩のお姉さんとの会話。
「じゃあ、いい天気の青空に雲があったら、邪魔?」
「はい…」
「でもさ、青だけの空って、のっぺらぼうじゃん。空の顔つきって、雲で決まるんだよ。お日さまだってギラギラして、うっとうしいときもあるじゃん。雲は雨も降らせるし、陽射しもさえぎるし、けっこうクセモノだから」
それは―わかる。なんとなく。
「邪魔じゃないよ、雲は」
それも分かる。ただ、お姉さんがその話で何を伝えたいかが、よく分からない。
でも、お姉さんはきみを指さして、「雲」と笑った。「がんばれ、雲」
posted by かずみ at 19:51| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月18日

ブックレビュー:父は、特攻を命じた兵士だった―人間爆弾「桜花」とともに


父は、特攻を命じた兵士だった。――人間爆弾「桜花」とともに

父は、特攻を命じた兵士だった。――人間爆弾「桜花」とともに

  • 作者: 小林 照幸
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/07/22
  • メディア: 単行本



内容(「BOOK」データベースより):
父・林富士夫は、日本帝国海軍の特攻部隊、神雷部隊に所属していた―。生きて帰らぬ特攻出撃へ、隊員から出撃者を選び、その名を黒板に書き出した分隊長であった父。部下たちを見送り、生き残った自ら。生き残った辛さに苛まれ、一年三六五日のすべてを慰霊の日と心に刻んで過ごしたその後の日々―。戦後、あたり前のようにあった普通の家族が背負っていた、もう一つの物語。

『きけ わだつみのこえ』のように、戦没者の遺書などを纏めたものは何度か読んだことがあったのですが、特攻を"命じた"―そして、自身は生き残った―人の人生について考えたことはありませんでした。
未来ある若者を人間爆弾「桜花」に乗せ、その命を戦場に散らせた張本人。林さんは戦時中、自分がまず特攻として出撃したいと考えていたそうです。自分の命と引き換えに、敵の戦艦にダメージを与えられるなら、ぜひともやってやろうという考えをお持ちだったと。けれど、逆に他の仲間たちを戦場に送り出す側になり、意を決して死に向かう仲間の背中を見ながら、自分にあれだけの度胸があるのかと自問するようになっていったのだそうです。そして、最終的には生き残って半世紀を生きた。戦争が終わった後、林さんは自分の子どもたちに「俺は、鉛筆一本で命を奪ったんだ」と言ってきたといいます。考えるまもなく短い命を終えるしかなかった者、生きて考える時間があったばかりに死ぬまで苦しむ者。前者の悲劇性にスポットライトが当てられやすい一方で、後者はあまり語られることはありません。けれど、その苦しみはどれほどかと思うと、とても胸が痛みました。

追悼式で、林さんは次のような言葉を述べています。
皆さんは誰の為に死のうと決意したのでしょう。親兄弟や愛する人との思愛のきずなを断ち切るとき、何をもって自らを納得させたのでしょう。突っ込んでも突っ込んでも戦況は少しも好転しないあの絶望的な状況の下で、最低限何を願ったことでしょう。途中、敵の戦闘機に捕まったとき、何を叫び、何を祈ったことでしょう。

これはきっと、林さんが自分の思い出の中にいる死んでしまった仲間にずっと問いかけていることなんだろうと思いました。そうやって、苦しんできたんだなぁと。

気象庁が桜の開花宣言に使う靖国神社の桜の木は、「桜花」の生き残った兵士たちが献木したものなんだそうです。それは、仲間が「靖国神社で会おう」と言って飛び立っていったからなんだそうです。
美しい桜の陰に、戦争で生き残った人の哀しい思いが込められている。
これから、開花宣言を聞くたびに、この本のことを思い出しそうです。
posted by かずみ at 20:11| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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