2010年09月08日

ブックレビュー:月と菓子パン


月と菓子パン

月と菓子パン

  • 作者: 石田 千
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 2004/04/24
  • メディア: 単行本



石田千さんのエッセイ集は初めて読みましたが、丁寧かつ淡々とした語り口で、読みながらどんな風景を描いているのかがなんとなく想像できてしまう、とても魅力的なエッセイ集でした。近所の猫のこと、商店街のこと、人々のこと…。批判はしない。ただ、その情景をとても丁寧に文章化して、最後にそっと石田さんの気持ちが添えられている、という感じ。
日々の暮らしをこんな風に言語化できるって、とっても素敵だと思いました。
いいなと思ったのは、『ともだちごはん』の一節。
"ともだちごはん"とは、お友達のおうちでご馳走になるご飯のこと。お金に困っていたり身体の調子が悪かったりするわけではないけれど、友人のおうちでごはんをご馳走になると、元気になるんだそう。
ともだちごはんに呼んでもらって、体のために食べるごはんと心のために食べるごはんがあると知り、なかなかお返しができないことをうしろめたく思っている。

心のために食べるごはん、っていう表現がいいなと思いました。


posted by かずみ at 17:01| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月06日

ブックレビュー:あなたに逢えてよかった


あなたに逢えてよかった (角川文庫)

あなたに逢えてよかった (角川文庫)

  • 作者: 新堂 冬樹
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/01/23
  • メディア: 文庫



ストーリー:(「BOOK」データベースより)
「おいしい紅茶を、飲みに行きませんか?」常連客の純也からかけられた奇妙なデートの誘い。紅茶専門店に勤める夏陽にとって、それが運命が動き始めた瞬間だった。記憶障害の患者を相手に、病院で作業療法に従事する純也。その優しさと誠実さに惹かれ、夏陽は徐々に心を開いてゆく。だが、初めて2人で出かけた軽井沢の旅行で、純也がまさしく記憶障害に冒されていることが判明した…。

感想:
ラブストーリーの王道、っていう感じでした。王道すぎて若干先の展開が読めてしまうけれど、それでもいい恋愛小説でした。なんか、恋っていいなーって思いました。一生懸命誰かを好きになるって、いいなぁ。気力も体力もめちゃくちゃいるけど。
あと、ところどころで紅茶の挿話があって、描写が細かくてほんとうに紅茶のいい香りがしてきそうでした。思わず紅茶飲みたくなっちゃった(笑)。
どっぷり恋愛につかりたいときには、いい1冊です。
posted by かずみ at 17:32| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月04日

ブックレビュー:小さき者へ


小さき者へ

小さき者へ

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 毎日新聞社
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: 単行本



私のお気に入り作家、重松清さんの短編集です。
この中の、『海まで』と『小さき者へ』いう短編がほろ苦くてよかったです。
『海まで』は、2人の息子を持つ父の目から、自分の息子たちと自分の母親との関係を描いた作品。『小さき者へ』は、家庭内暴力&引きこもりの息子を持つ父親が、自分の高校生の頃を思い出しながら、息子に手紙を書くという話。

『小さき者へ』で、主人公の父親が、自分が子どもの頃に母親のお財布からお金をくすねようとしてうっかり財布の入った引き出しをひっくり返してしまい、その姿を父親に見つかったとき、父親が怒らずに言った言葉が印象的でした。そのシーンがこちら↓
「なんで怒らんのん」
考えて口にしたのではなかった。言葉が胸にこみ上げて、喉から漏れたのだ。
父は少し間をおいて、困ったように笑った。
「…よう分からんけん」
さっきより、さらに低い声で言った。
「わからんて、何が?」
ぼくは床板をにらんで、つづけた。なぜだろう。叱られたいわけではないのに、このまま終わりにしたくない。
(中略)
ぼくも、それ以上は父を問い詰めなかった。父と同じように黙って、ひきだしの中身を拾っていった。
お互いに背中を向ける格好になった。そのとき―父はぽつりと言った。
「おまえが落としたものは、一緒に拾うちゃるけぇ」
「…え?」
「それしか、ようできんけん」
ため息交じりに、短く笑う。

いいとか悪いとかではなく、なんだか、印象的なシーンでした。
posted by かずみ at 18:26| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月29日

ブックレビュー:お母さんのきもち


お母さんのきもち

お母さんのきもち

  • 作者: 新川 和江
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2001/05
  • メディア: 単行本



なんとなく手に取った1冊ですが、ふわっとあったかい気持ちになるいい詩集でした。
特に、『赤ちゃんに寄す』という詩は、とてもよかった。特に、後半。
吾子よ おまえを抱きしめて
<わたしが生んだ!>とつぶやく時―
世界中の果物たちが いちどきに実る
熟した豆がいちどきにはぜる
この充実感 この幸福(しあわせ)

お母さんになって初めて、心で分かる詩なのかも、と思いました。

今まであんまり詩は読まなかったけど、詩っていいなと思いました。
これから、たくさん借りる本のうち、1冊くらいは詩集でもいいかも。
posted by かずみ at 16:22| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月26日

ブックレビュー:チョコレート革命


チョコレート革命

チョコレート革命

  • 作者: 俵 万智
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1997/05
  • メディア: 単行本



『サラダ記念日』で有名な、俵万智さんの歌集です。
いいなと思っって書き留めた歌はいくつかあるけど、特に気に入ったのは、
蛇行する川には蛇行の理由あり 急げばいいってもんじゃないよと

NOと言わぬこととYESと言わぬことの 間にただようような気持ちで
の2首。このゆるーい感じがとっても好きです。
『サラダ記念日』は、昔読んだけど内容ほとんど忘れちゃったので、また借りてこようかな。
そういえば、"サラダ記念日"がいつなのかも、忘れちゃった。7月5日?6日?夏だったような気がするけれど…。

俳句もいいなと思うけれど、個人的には短歌が好き。
百人一首をはじめ、昔の短歌も素敵だけれど、口語体でくだけた表現の多い俵万智さんの短歌もいい。
俳句なら、黛まどかさんもいい。

読売新聞に載る週1の歌壇で俵万智さんが選出した短歌は、なんとなく全部読んでしまいます。
そういえばこの間、読売新聞に俵万智さんと一青窈さんの対談が載っていました。短歌の師弟関係なんだって(こちらで記事が読めます)。

5、7、5のリズムって、なんとなく心地いい。
これが「日本人のDNA」だと言われると、ほんとにそうじゃないかと思ってしまいます。
posted by かずみ at 11:00| Comment(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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