2007年04月11日

ブックレビュー:"The Shadow of the Wind"

読み終わっちゃいました、Carlos Ruiz Zafonの"The Shadow of the Wind"。世界中で大絶賛され、何ヶ国語にも翻訳された超話題作と言うだけあって、ストーリーのテンポがよくってぐいぐい引き込まれてしまいました。

“本の墓場”で見つけた一冊の本、"The Shadow of the Wind"。運命的なその本との出会いが、少年Danielの日常にミステリアスな影を落とす。
本の作者、Julian Caraxについて調べ始めたDanielは、Julianの著書が片っ端から破壊されていることを知る。
本を奪おうとDanielに近づく謎の男。友人Ferminの行動に目を光らせる怪しい警察官、Fumero。初恋の女性、Claraとの出会いと別れ。親友Tomasとその妹Beaの存在。そして、明らかになるJulianとPenelopeの悲恋。
たくさんの人々を巻き込んで、謎が謎を呼び、思いは交錯する。愛情、憎しみ、友情、裏切り―。

駆け落ちの約束をしたJulianとPenelope。約束の日の朝、Julianは、手を貸してくれた友人Miquelと駅でPenelopeを待つが、彼女は現れない。

"There's still time," Miquel murmured with his eyes fixed on the station entrance.
At five past one, the stationmaster gave the last call for passengers traveling to Paris. The train had already started to slide along the platform when Julian turned around to say good-bye to his friend. Miquel Moliner stood there watching him, his hands sunk in his pokets.
"Write," he said.
"I'll write to you as soon as I get there," answered Julian.
"No. Not to me. Write books. Not letters. Write them for me, for Penelope."
Julian nodded, realizing only then how much he was going to miss his friend.
"And keep your dreams," said Miquel. "You never know when you might need them."
"Always," murmured Julian, but the roar of the train had already stolen his words.

「出発まで、まだ、時間はある」とMiquelが駅の入り口をじっと見つめながら言った。
1時5分。車掌がパリ行きの乗客への最終案内を放送した。JulianがMiquelを振り返ってさよならを言おうとしたときには、電車はすでにプラットホームを離れ始めていた。Miquelは手をポケットに入れたまま、Julianを見つめていた。
「書けよ!」とMiquelが言った。
「向こうに着いたら、すぐに手紙を書くよ」Julianは答えた。
「違うよ、手紙じゃなくてさ、本だよ!本を書けよ!俺と、Penelopeのために!」
Julianはうなずきながら、そのときになってようやく、Miquelとの別れの寂しさを感じていた。
「あきらめるなよ!夢は、持ち続けるものだから!夢が必要になるときが、きっとあるから…」
「いつだって、夢は必要だよ…」そう答えたJulianの言葉は、電車の騒音にかき消されてしまっていた。

("The Shadow of the Wind" p278 訳はmy意訳)

スペイン語の英訳版なので、英語自体それほど難しくなく、すらすら読めます。難しい比喩とかもないし。
内容は正統派ミステリーって感じ。ミステリーファン必読!登場人物が多いのでこんがらがりそうになるけど、伏線もばっちり張られていて、「この人とこの人はここでつながってたんや!」ってコトもあったりします。Julianのたどった数奇な運命と主人公Danielの人生がなんとなくかぶっているところも、不思議な宿命を感じさせます。お気楽ハッピーな話ではないけれど、なぜか惹きつけられてしまう…そんな、たくさんのエッセンスが詰まった1冊でした。

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posted by かずみ at 21:26| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月11日

文楽レビュー:『妹背山婦女庭訓』

やってきました2月文楽公演!約1年ぶりの文楽観劇でございます。
1860_1.jpg
(国立劇場のサイトからお借りしました)

思えば長い道のりだった…。申し込みをしたのに行けなかった日もあり、観たいと思っていたのに申し込みを忘れたこともあり…。まぁ、たいていの場合自分が悪いんですが、それにしても、ほんとにようやく国立劇場に足を運ぶことができました。

今日の演目は、『妹背山婦女庭訓』第4段。蘇我入鹿討伐に向けて動き出す藤原鎌足サイド、そして、その討伐に関わる2人の女性の存在…。ダイナミックな動き満載の段です。

あらすじ
一幕“道行恋苧環(みちゆきこいのおだまき)”
蘇我入鹿討伐を狙う鎌足の部下、求馬(もとめ)は、お三輪(みわ)と恋仲。ところが、大敵である入鹿の妹、橘姫が求馬に恋心を抱き、接近してくる。ある夜、2人は道すがら出会うが、橘姫は求馬が敵の部下だと知っているので名を明かさず切々と恋心を訴えるだけ。謎の女性に心惹かれた(?)求馬は、走り去る彼女の着物に苧環(おだまき)の赤い糸を付けて後を追う。恋人であるお三輪も、それを見て求馬の着物に苧環の白い糸を付けて追っていく。

二幕“鱶七上使段(ふかしちじょうしのだん)”
一方舞台は入鹿の屋敷。鱶七(ふかしち)という漁師が「鎌足の降伏の印」という酒を、頼まれて持ってきたと入ってくる。その真意を怪しむ入鹿は鱶七を人質にとるが、鱶七は悠々としている。

三幕“姫戻段(ひめもどりのだん)”
橘姫は素性を知られまいと急いで屋敷に戻ってくる。追いかけてきた求馬は、彼女が天敵入鹿の妹だと知って殺そうとするが、彼女のあまりにひたむきな恋心にうたれ、入鹿の持っている“十握(とつか)の御剣”を奪い返してくれれば夫婦になると約束する。

四幕“金殿段(きんでんのだん)”
一方、求馬を追ってきたお三輪は、宵に橘姫と求馬の祝言が挙げられると聞いて激怒。なんとかしようともくろむものの、逆に入鹿の女官たちに恥をかかされてしまう。憤怒と嫉妬で怒り狂うお三輪は、見境なく屋敷に入ろうとしたところを鱶七に刺される。実は鱶七は鎌足の部下で、入鹿討伐のために“疑着(ぎちゃく=嫉妬)の相ある女の生血”が必要だったとお三輪に明かす。お三輪は、愛する人の役に立って死ねるのならと喜びながら死んでいく。

五幕“入鹿誅伐段(いるかちゅうばつのだん)”
橘姫は、兄入鹿から御剣を盗もうとするが、失敗する。そのとき、三輪の生血に浸された笛の音が聞こえ、入鹿は気を失う。御剣はいつしか龍となり、鎌足の袖に飛び込んで元の剣となった。入鹿は三種の神器のひとつである鏡で目がくらんだところを鎌足によって斬首される。

…ていうか、求馬ひどくない??自分に恋心を抱く女性を2人も利用して!!どうなってんだよ!っと、一緒に観に行ったMちゃんと思わず突っこんでしまいました。報われない女心…悲恋です。いったい誰が“悪”なのか…。お三輪があまりにも可愛そうです。

そうそう、お三輪が殺される場面で、鱶七がこんなことを言ってました。

「…(前略)…彼(=入鹿)が父たる蘇我の蝦夷子。齢傾く頃までも一子なきを憂へ、時の博士に占はせ、白き牡鹿の生血を取り、母に与へしその験。健やかなる男子出生。鹿の生血胎内に入るを以て入鹿と名付く。…(後略)…」

鹿の血が入り混じってるから“入鹿”。なかなかうまいこと考えたものです。思わず信じてしまいそうになったよ…。


ちなみに、この鱶七を操っていたのは、私の大好きな桐竹勘十郎さん!!いやぁ、今宵も素敵でした…黒ハートもぅ、オペラグラス通してじっくり見ちゃったよ。ダンディやわぁハートたち(複数ハート)
鱶七は出番も多く、けっこう動きも大きくて見ごたえもあり、たくさん見られて大満足でした。勘十郎さん素敵!


文楽は、いつの間にか人形が人形でなくなって、太夫さんの声と三味線の音と、人形の動きがほんとにひとつに見えてくるのがすごく不思議です。物語に入り込んでしまうと、そこには人形遣いや太夫や三味線はいないんだよね。ただ、ドラマがある。ほんまにすごいなーっと思います。やっぱり好きです、文楽!


それにしても、昔の姫さん方にとっては、恋は命がけでするもんなんですねぇ。いやぁ、激しい恋!お三輪さんなんて、「あなたのお為になることなら、死んでも嬉しい、忝い」と言って死んでいくし、実の兄を裏切って御剣を奪ってきたら夫婦になってやるよ(←何様)と求馬に言われた橘姫なんて、「若し見付けられ殺されたら、これがこの世の顔の見納め。たとへ死んでも夫婦ぢやと、おつしやつて下さりませ」って言って覚悟を決めるのよ。激しい…。

恋は命がけなんですね。
でもやっぱり求馬め、許せん。
posted by かずみ at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月14日

歌舞伎レビュー:『初春大歌舞伎』

1月です。新春歌舞伎です。とういことで、行ってきました☆
最近は歌舞伎を幕見で観ることが多くなっていたのですが、さすが新春歌舞伎、演目もキャストも超豪華。なので、今回は思い切って午前の部の3等席(←でも3等席)買っちゃいました。久々!そして、一緒に行ったMちゃんにとっては、初の歌舞伎座内部での観劇です。

kabukiza_chirashi_07012b_handbill.jpg
(ふたたび松竹サイトからお借りしてきました)

今回の昼の部の演目は、

1.松竹梅
2.平家女護島 俊寛
3.勧進帳
4.六歌仙容彩 喜撰

そんでもって、注目はもちろん勧進帳!!しかも、武蔵坊弁慶を松本幸四郎さんが演じるとあって、私はかなり興奮しておりました(←幸四郎さんファン)。

1幕目の『松竹梅』は、お囃子。私は、舞踊やお囃子ですぐに眠くなってしまう罰当たりなお子様なのですが、今回は面白かった!松、竹、梅と、背景がテーマに合わせて変わるの!さすが新作、なかなか奇抜な演出でした。

次の『俊寛』は、流刑にあって島で暮らす俊寛という元僧侶の話。同じく島で暮らす成経という若者と、海女の千鳥を添い遂げさせようと、一肌脱ぎます。なんというか、あまり救いのない話で…とてもおめでたい話って感じではないんだけど、人情味のある、いいお話でした。

そして注目の勧進帳。いやー、幸四郎さん素敵!ダンディ!男前!!声も渋くて、ほんとに惚れ惚れしました。関守相手にハッタリかますところなんて、もぅほんとに素敵すぎます。はぁーーー、近くで見れてよかった〜〜!(←今回3階席なので、幕見の4階席に比べたら倍ぐらい舞台に近いのです)
勧進帳は、中学校の音楽の時間に「伝統芸能に触れよう」みたいな時間があって、そのときにビデオでちらっと見たことしかなかったんやけど、ほんとによかったです。やっぱり人間、必要なのは人情だよなぁ、とか思っちゃった。そんで、とっさの機転をきかせる弁慶が、というか幸四郎さんがまた素敵で…(→振り出しに戻る)。

もうひとつの注目は、去年襲名披露を終えたばかりの勘三郎さんが演じる喜撰法師。これまたお囃子なんやけど、とっても滑稽で、ユーモアあふれるコメディーって感じでした。勘三郎さん、シブいのに、あんなひょうきんな役もなさるのね…。素敵。


豪華キャストの新春歌舞伎は、会場もほぼ満席。やっぱり、お正月ってこともあって着物姿の女性が多くて、華やかでいいなーと思いました。着物着て歌舞伎なんて、ほんとにステキ!私は自分の着物を1着も持ってないのですが、いつか着物を着て、ちょっといい席で歌舞伎を見たいなぁと、今日はほんとに、心から思いました。着物欲しいなぁ…お金貯めようかな。そんでもって、着付けとか習おうかしら。

2月の歌舞伎は、通し狂言の『仮名手本忠臣蔵』。いよっ、待ってました!また見に行く予定です。そんでもって、2月には待ちに待った文楽の公演もあるのですよ(@国立劇場)!残念ながら今回は桐竹勘十郎さんは出演なさらないみたいですが、私の好きな演目、『妹背山女庭訓』をやるみたいなので、ぜひぜひこちらも見に行きたいです♪
posted by かずみ at 22:41| Comment(4) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年11月27日

ブックレビュー:“LABYRINTH”

な、長かった…。
700ページの超大作、とうとう読み終わりました。

Kate Mosseの"LABYRINTH", これはほんとに、ほんっとに面白かったです!とにかくテンポがいい!ファンタジー混歴史ミステリー・サスペンスっていう感じです。
次々と起こる事件、深まる謎、3つの書、2人の女、聖杯伝説…。そんでまたこの表紙が(詳細は下の「続きを読む」をクリックしてください)カッコイイ!!もぅ、ほんとに、文句なしにGOOD!でした。

物語は、好奇心旺盛な一人の女性、Aliceが友人の発掘作業に加わるところから始まる。不思議な力に導かれて、やってきた岩場。吸い込まれるように入った洞窟の中で、2体の白骨を発見してしまい、それからというもの、Aliceはなぜか命を狙われることに…。
一方、時代はさかのぼって13世紀のフランス、カルカソンヌ(Carcassona)。新妻アーレイスは父親から秘密の書と迷路(Labyrinth)が刻まれた指輪に関する話を聞かされる。秘密を守り抜こうとするアーレイスだったが、時は戦乱の世へと突入していった…。

ミステリーあり、ロマンスあり…ほんとにすごい小説です。残念ながら私はフランスの歴史(というか宗教的な歴史事)に疎いので、中世フランスのなんとかの戦いがどうこう、とかいうあたりはまったく分からなかったのですが、次はフランス中世の歴史を勉強してからもう一回読みたいです。ついでに、フランス語もちょっと勉強してから…(たくさんフランス語が出てくるので)。

インスピレーションだとか運命だとか直感だとかが苦手な人にはあんまりオススメできませんが、小説の世界なんだから何でもアリよ!っていう心のひろーい方にはオススメです♪日本語版も出ているようなので(『ラビリンス(上・下)』)、秋の夜長に、いかがでしょうか。

お決まりですが、Langue d'Oc(オック語:フランス南部で話されている言語。カタルーニャ方言と共通点が多いらしい)なんていうマイナー言語が出てきたのも素敵でした。うふふ、私、やっぱり言語マニアになれるかも。オック語が出てくるたびにニヤニヤしちゃった(←怪しい)♪あ、もちろん、ここは私だけのツボだと思うので、こんなこと考えなくったってじゅうぶん楽しめますよ。


Pas à Pas …一歩ずつ、少しずつ。
これが、このミステリーのキーワード…かも?

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posted by かずみ at 23:42| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年10月03日

ブックレビュー:"A Walk to Remember"

ついでにもういっちょ。Nicholas Sparksの"A Walk to Remember"です。

ストーリー:さえない高校生のLandonは、高校最後のパーティーに誘う相手もいない。あせったLandonは、学校内でいちばん敬虔で“変人”と呼ばれるキリスト教徒のJamieをダンスのパートナーとして誘う。彼女が出した条件は、「私に恋しないこと」。
その条件を笑い飛ばしたLandonだったが、ダンスの後、その埋め合わせとして劇の主役をするよう言われた彼は、天使の姿をした美しいJamieに心ひかれていく。けれど、Jamieを愛していると気付いたとき、Landonは彼女の余命が残りわずかだと知らされる。


私は『世界の中心で、愛を叫ぶ』をちゃんと読んでないのですが、ストーリーとしてはほとんど同じかな?って感じがします。好きな女の子が白血病で余命あとわずか。主人公は、彼女が死ぬ前に結婚式を挙げる。そして、彼女の死後も、ずっと、一生彼女を想い続ける…っていう話。
ストーリーだけだと、チープな「お涙頂戴」のお話なんだけれど、この本はそれだけじゃない。2人きりの帰り道、想像以上に美しい彼女の天使の姿、一緒に過ごしたクリスマスの思い出など、すべてが非常に繊細に、丁寧に描写されていて、とっても美しい世界やなぁと思いました。簡単な英語で、量も少なくて(240ページくらい)、でも、じゅうぶん読みごたえがあって「いい話を読んだなぁ」っていう気分になりました。これくらいひたむきに誰かを愛せたら、すごいよねって思いました。

この作者は、映画『きみに読む物語』や『Message in a Bottle』などの著作を持つ、恋愛小説家。甘くて切なくて、胸がきゅんとするお話が好きな方は、一度読んでみてはいかがでしょうか。

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posted by かずみ at 21:53| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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