2006年08月11日

ブックレビュー:"The Historian"

ようやく、ようやく、読み終わりました!
800ページ超の"The Historian"―なかなか思ったよりも手ごわい相手でした。


感想としては、誰かがAmazonのレビューに書いているとおり、

Kostova might be a good historian, but she does not write a good novel.(コストヴァ(作者)は、歴史家としては非常に優れているけれど、小説家としての手腕は感じられない)

って感じでした…。確かに面白いんだけど、オチがないっていうか、最終章が投げやりな感じ。ドラキュラ伝説をここまで細部にわたって書きこんでいる割には、人間の心理描写が雑に思えました。むしろ、小説なんかにせずに『ドラキュラ伝説をめぐって』みたいなエッセーにしたほうが、そういうのが好きな人に受け入れられたとんじゃないかなぁ…。カラーで、写真いっぱい載せたりしたら、私ならゼッタイ買っちゃう(←ミーハー)。それが、残念ながら、なまじ小説にしてしまったばっかりに“歴史小説”としては中途半端になってしまってるかも。

でも、前回も書いたとおり、『世界!不思議発見』とかお好きな人にはオススメです。ドラキュラ伝説をめぐって、アムステルダムからトルコへ、トルコからルーマニア、ブルガリアへと、手がかりを追えば追うほど謎はどんどん深まっていく。古文書とか、私はそういうの大好きなので、「これは、古代教会スラブ語だ!」とか「アラビア語で書かれた文書だ!」とか「これはルーマニアの民謡だ!」いうセリフが出てくるたびにうきうきしてました。むしろその文章を載せてくれ!って感じでした(←マニア)。

題名が"The Historian"(歴史家)で、物語の半分以上が歴史にかかわることなのに(世界史得意だった人は、読んでて分かりやすかったかもね)、私がぐぐっとひきつけられたのは

Draculaは"son of the Dragon"(竜の息子)っていう意味だ。
(正しくは、Draclea = "son of Dracul"(ドラクルの息子)で、Draculっていうのはドラキュラのお父さんのお名前。んで、Draculはルーマニア語で竜とか、悪魔とかを意味するDracから来てるんだって。詳しくなっちゃった♪)

とか

Balkan(バルカン地方)はトルコ語で "mountains"(山地)っていう意味だ。

とか、そういう、言語に関わることばかりで…(しかも、なぜか修道院用語にまで詳しくなってしまった)。
オットーマンの支配がどうたらこうたらとか、きっと著者がもっとも書きたかったことに心惹かれなかったことについては、むしろ申し訳ないくらいです。


でも、単純な私は、読み終わって早速「ルーマニアのドラキュラ城に行きたい!」と思い始めました。Sighisoara …行ってみたい!


歴史好きで、詳細な記述に疲れない人には、オススメの一冊です。
地図と世界史の年表を片手に読むと、筆者の意図に添えると思います(^^)
posted by かずみ at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月28日

泉鏡花、な夜〜歌舞伎レビュー:『天守閣物語』〜

今日で東京での研修はおしまい。久々の満員電車通勤、がんばりました。

ってことで、今日は5時前に終わって、そのあと歌舞伎座に直行して、幕見席の行列に1時間半ほど並んで、しかも立ち見で、見てきました。

天守物語』!!

chirashi_kbk.jpg
松竹歌舞伎サイトからお借りしてきました)

泉鏡花原作の、あの幽玄で美しい世界が歌舞伎に!
そんで、海老蔵さんが、すごいいいオトコなんだわ。ちょっと、ほんとに惚れ惚れしちゃったよ…。

歌舞伎って、「いい女にダメ男」っていう構図がけっこうあるんだけど、今回の『天守物語』は「美しい女にいい男」!目の保養です。
天守物語は、白鷺城(姫路城)が舞台。白鷺城の天守閣に住む富姫(坂東玉三郎)が、わけあって天守閣を訪れた姫川図書之助(市川海老蔵)に恋をして…っていう物語。物語といっても、一晩の出来事なんですけど。一瞬で図書之助に惚れ込んで、「私の命を差し上げるわ!」とのたまう富姫。

真似できないくらい情熱的です。

それにしても、最後のシーンなんて、ほんとに美しい。月明かりのもとで、互いに手を取り合って熱い視線を交わす二人。他人事ながらどきどきします。素敵〜☆

1時間半並んで幕見席買って見た甲斐がありました。ほんとによかった!!ご興味のある皆様、7月歌舞伎は31日千秋楽ですので、お時間のあるときにぜひ!夏の夜、泉鏡花&歌舞伎の織りなす幽玄で美しい世界にうっとりすること間違いナシです。オススメ!
ただ、幕見は夕方6時10分販売開始ですが、遅くとも5時には並んでおかないと券が取れない可能性が…。今日も、5時半には幕見のチケットが完売予定となりました。やっぱり、玉三郎×海老蔵の共演ってのもポイント高いし、『天守物語』自体もけっこう有名な、人気のあるお話だからかなー。

ちなみに、8月納涼歌舞伎は八犬伝ですよ!楽しみだ♪
posted by かずみ at 23:21| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年07月04日

ブックレビュー:"Shopaholic and a sister" "Shopaholic Ties the Knot" ほか

Shopaholic第4弾、"shopaholic and a sister"(『レベッカとその妹』)を読み終わりました。今回は、前作"Shopaholic Ties the Knot"(レベッカ、結婚する)でめでたく結婚した夫ルークとの新婚旅行から帰ってきたレベッカが、両親から腹違いの姉がいると聞いてパニックに。なんとか姉のジェシカと仲良くなろうと策を練るレベッカですが、買い物好きのレベッカに対して姉のジェシカは極度の節約家。互いにぶつかり合いながら、反目しあいながらもお互いを認めていくようになる…っていうお話。
ちなみに、前回は書き忘れましたが、"Shopaholic Ties the Knot"はレベッカと恋人ルークの結婚にまつわる一騒動。レベッカの両親はロンドンの自宅での結婚披露宴を取り仕切っているし、かたやルークの母親はニューヨークで豪華な結婚式をと望んでいる。そして、両方が同じ日をセッティングしてしまった!さぁ、どうなるレベッカ!?…ってことで、こちらもほんとに面白かったです。

今読んでるのは、"The Historian"というサスペンス小説。まだ50ページほどしか読めてないんだけど、なかなかスリリングでおもしろいです。ルーマニアのドラキュラ伝説をはじめ、舞台はアムステルダムからスロベニア、トルコへ…。ある日一冊の古い本と黄ばんだ手紙を見つけた主人公が、歴史家の父とともに事件に巻き込まれていくという、ちょっと"ダヴィンチ・コード"にも似た感じの小説。歴史とか好きな人…「世界ふしぎ発見」とか好きな人にはオススメかも!ちなみに、日本語訳も出ているようです(NHK出版『ヒストリアン』)また読み終わったら感想書きます☆

やっぱり、電車通勤にしてよかった!思いっきり本が読めます(^^)
posted by かずみ at 22:31| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月13日

ブックレビュー:"Shopaholic takes Manhattan"

先月オススメした最近のヒット小説、『買物中毒』。今日、第二巻"Shopaholic takes Manhattan"を読み終わりました。

今回は、前回結ばれた恋人の仕事の関係で、主人公レベッカがニューヨークに行くお話。ロンドン育ちのレベッカは、アメリカでの買い物におおはしゃぎ。貨幣価値の相違もあって、どんどん買い物を続けてしまい、またまた借金を作ってしまうのです。
実は前回、ひょんなことから“ファイナンシャル・エキスパート”としてテレビで活躍するようになった彼女。けれど、視聴者には「お金の使い道には十分注意してね!」と呼びかける傍ら、自分は見境なく買い物してしまっている(しかも借金がある)というスキャンダルをマスコミに暴露され、大ピンチ。職も失い、恋人とも破局の危機に…。

今回も、はらはらどきどき、スピーディなストーリー展開で、とってもおもしろかったです。『買物中毒inマンハッタン』―ちなみに副題は、“だってロンドンのお店だけじゃ足りないんだもの…”。

ちなみに最後はとってもドラマティックです。私の好きなエンディングタイプ☆オススメ!
posted by かずみ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年05月29日

ブックレビュー:"Confessions of a Shopaholic"

1週間の中でも、月曜日はなんかちょっと特別なような。
「1週間がんばるぞ!」っていう意気込みと、「週末まであと5日…」って、さっそくカウントダウンしてしまうへなちょこさ。そういうものが入り混じってる今日この頃です。


最近、電車の中で読んでいてハマっているのが、Sophie Kinsellaさんの"Confessions of a Shopaholic"という本。新宿の紀伊国屋でたまたま手に取った本なんだけど、ほんとに面白いの。まだ半分しか読んでないけど、ストーリーはいたってシンプル。買い物中毒の女の子レベッカが巻き起こす騒動がぎっしり詰まってます。レベッカがあまりにも頼りなくて、読んでいるうちに本気で彼女のことを心配してしまう。でも、その頼りなさが、小説なのに変にリアルで、時間のたつのも忘れて読みふけってしまうのです。こんなこと、ありえないって思いながら、でも、それが小説の中で起こっているから笑えてしまう。

ついついあれこれ買ってしまうレベッカの、今月のVISAカードの支払いは949.63パウンド(=約20万円)。請求書を見てあわてふためく彼女は、いろんなことを考える。「そうか、この請求書を見なかったことにすればいいんだわ!」だとか、「忘れてしまえばいいのよ!」とか。節約もがんばってみるけれど、ぜーんぶ裏目に出てしまうし、借金はどんどんふくらんでいく。おまけに、ちょっとしたことでついてしまった小さなウソが、波紋を広げてとんでもないことになっていく…。


For thirty seconds I am completely motionless. Then, without changing expression, I stuff the bill back into the envelope. I honestly feel as though this piece of paper has nothing to do with me. Perhaps, if I carelessly let it drop down on the floor behind my computer, it will disappear. The cleaners will sweep it up and I can claim I never got it. They can't charge me for a bill I never received, can they? (Chapter 1, p9)

(大約:私はしばらくの間、完全に思考停止してしまった。そして、表情も変えずに請求書を封筒に戻し、あの紙切れが自分とは無関係だと思い込むことにした。今ここで、私が「うっかり」コンピュータの裏にでもこの封筒を落としてしまえば、こんなものすぐになくなってしまうに違いない。掃除のおばさんがごみと一緒に持っていってくれるだろう。そして、私は請求書を受け取ってないと言えばいいのだ。見てもいない請求書に、支払う義務はないもの!)



小説は、彼女の語り口調で書かれていて、すごく読みやすい英語。もし、シリアスさを求めない、ただ単にくすっと笑える小説がお好みなら、この本はほんとにオススメです。350ページほどのペーパーバックで1冊800円。あの薄っぺらいTIMEと同じ料金(←せこい)。TIMEは賢くなれるけど、コストパフォーマンスはイマイチ(たかだか30ページほどしかないもん!)。オススメです☆
posted by かずみ at 21:17| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする