2006年10月03日

ブックレビュー:"Last Chance Saloon"

読み終わってからずいぶん経ちますが、せっかくなのでレビューを。
Marian Keyesの"Last Chance Saloon"です。

ストーリー:仲良し三人組のTara、Katherine、Fintan。フツーの生活を送っていたはずの彼らだけれど、Taraの彼氏は完全なヒモ状態だし、Katherineは好きな相手に素直になれない天邪鬼。そんなある日、Fintanが癌だと分かって、彼らの生活は少しずつ、その様相を変えていく。


なんていうか、いわゆる“通俗小説”です。これといってoutstandingなところもないし、文章はスラングが多すぎて、はっきり言ってものすごく読みにくい。物語のはじめのほうは展開がもたもたしててあんまり読み進めようと思わないくらい。
でも、Fintanが癌だと分かってから、アタリマエの日常はアタリマエじゃないんだなってTaraやKatherineが感じるところ、好きな相手に好きといえないもどかしさ、恋に恋する苦しさみたいなものが、すごくリアルに描かれている気がしました。
ただ、後半の展開がちょっとはやすぎるんだけどね…。登場人物の気持ちの切り替えがさっくりしすぎている気もするし。

同じ系統なら、Shopaholicのほうが読みやすくてテンポもいいかな、と思いました。話自体はハッピーエンドだから、読んでて気持ちいいけどね。

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posted by かずみ at 21:21| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年09月23日

歌舞伎レビュー:『籠釣瓶花街酔醒』

というわけで、3人で見に行った歌舞伎。
今回は『籠釣瓶花街酔醒』を見ました。

chirashi_sept.jpg
(今回も松竹歌舞伎SITEからお借りしてきました)

話は、一人の男(次郎左衛門)がある日、八橋という花魁(おいらん)に一目惚れして、足しげく彼女の元へ通うようになって身請け話までするようになった。
でも実は、その八橋には間夫(現代用語でいうならヒモ)がいて、この男、養ってもらってるくせにとある悪人にそそのかされて「俺の許可もなしに身請け話なんか!」って八橋を責めにくる。間夫っていうのは、遊女の愛人みたいなものなんだけど、お金がないのね。でも、遊女にとってはお金で買われた相手じゃなくて本気で惚れてる相手だから、ヒモでもなんでも、とにかく愛する男なのね。それで八橋も、誤解とはいえ「その客と縁を切らないなら別れるぞ!」って言われて、仕方なく次郎左衛門に愛想尽かし(「あんたがキライなのよ!顔も見たくないわ!」見たいな感じ…)をする。
おりしもその日は、次郎左衛門が同僚やらを引き連れて身請け話をしに来ていたときで、次郎左衛門は顔に泥を塗られてすごすごと帰っていく。
4ヵ月後、何事もなかったかのように再び八橋に会いに来た次郎左衛門。愛想よく酒をすすめて、八橋がその杯を受けた瞬間、「これがお前のこの世で最後の酒だ!」って、豹変して、八橋を斬り捨てる(しかも、その直後に明かりを持ってきたおかみも斬る)。そして、その刀を眺めるところで閉幕…。って感じ。

美しい花魁に惚れて、鼻の下伸ばしてデレデレしていた次郎左衛門が、最後にがらりと声色を変えて殺人鬼となる瞬間は、凄みがあって見事でした。「よくも俺の顔に泥を塗ったな!」と言ってキレてたけど、八橋を斬った刀を見つめて「籠釣瓶(←刀の名前)…よく斬れる…」とつぶやく姿はむしろ狂人。
心から、狂おしいほど惚れていた八橋に、突然愛想をつかされる。しかも、八橋に実は間夫がいたことまで知らされる。失恋なんてもんじゃないですよね。深く深く愛していたからこそ、憎さや恨みも深いものになってしまった。それが次郎左衛門を殺人鬼という狂人に変えてしまった。現代で言うなら、別れ話で逆上して恋人を殺してしまうようなもの。その、盲目的な愛の光と影が、ほんとに見事に演じられていたなぁと思いました。

開演と同時に真っ暗になる客席。にわかに明るくなって、突然現れる吉原(京都の祇園みたいな感じ?遊女の多いところ)の華やかな風景。そこに現れる美しく華麗な花魁道中…と、視覚的にも非常に見ごたえのある、美しい幕開けです。最後は凄惨な殺しの場面なんだけど、斬られた八橋が倒れる様も、なぜか美しい。
見ごたえのある演目でした。
posted by かずみ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月27日

ミュージアムレビュー:『Bamboo Bank 緑陰銀行 松本秋則展』&『PopulouSCAPE』

というわけで、横浜まで行ってみたかった展示会。それが

『Bamboo Bank 緑陰銀行 松本秋則展』!

ふとしたことで知ったこの展示、見るからに癒しオーラを放ってて、どうしても行きたかったのです。
展示があったのはBankART1929という建物。この建物も、古い建造物を生かしたものでとっても雰囲気があります。

展示は、300平米ほどのフロアに作られた、竹の空間。

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いろんなところで、竹のいろんな音が聞こえてきます。
無料で入れて、あるのはソファーだけ。訪れた人も、竹の奏でる自然の音に耳を傾け、心地よいひと時を過ごしている感じでした。
期待通り、めっちゃ癒されました!!


ついでにと思って、隣の部屋のパンフレットを眺めていたら、スタッフのお姉さんが「この下、地下1階でやってる映像を、ぜひ見てほしい!」とオススメしてくれたので、見てきました。それが、『PopulouSCAPE』。

これは…すごい…ですよ。

版権があると思うので、ここでは写真etc出せませんが、ぜひぜひこのサイト、行ってみてください。もぅ、ものすごい、幻想世界でした。現実の、幻想世界。映像室に2人きりだったこともあって、「あ、東京!」「和歌山発見!」「ローマだ!」「これってロンドン??」…っと大興奮してしまいました。世界の人口、というテーマだけで、こんな素敵な世界を作り上げた日本人クリエーター、もぅ、天才です!
このDVDとかあったら、買っちゃいそうです。たった5分程度の映像なのに、惹きつけられて、目が放せない。ニューヨークから世界へ、インターネットのリンクが発信される瞬間なんて、圧巻です。美しすぎです。

横浜に住んでる人、たった100円でものすごい映像が見れちゃいますよ。
竹の空間はあと3日でおしまいですが、この映像は9/16までやってます。ぜひぜひ見てみてください!ゼッタイオススメ!!
posted by かずみ at 22:46| Comment(4) | TrackBack(1) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年08月25日

ミュージアムレビュー:『追善浮世絵展』

千葉市立美術館で同時開催していた、『追善浮世絵展』。西洋もすごいけど、日本だってすごいんだぞ!活版印刷なんかなくったって、美しい版画で鮮やかな色の浮世絵が描かれてたんだから☆

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(この展示は、フラッシュさえたかなければ撮影OKなのだ)

“追善”というくらいだから、展示されてる絵はほとんどが死絵とよばれる絵です。故人をしのんで描かれた絵ってことね。なので(写真じゃちょっと分かりにくいけど)、だいたい衣装は死装束を表す浅黄色(ちょっと薄めの青緑色みたいな色)で、手には数珠を持ってるのが多い。こういうのが死絵の特徴なんですって(←去年歌舞伎の授業で習った)。

死絵なんだから、めったなことは言えないと百も承知ですが、それにしてもツッコミどころありすぎです、この展覧会。せっかくなのでバラしちゃいます。

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左のほうの立て札に注目(クリックして拡大表示!)。

「三ツの川」

「是より極楽道」

い、行き先表示!?
何ですか、閻魔様のお裁きをすっとばしてさっさと極楽に行っちゃおうって魂胆ですか。そんな閻魔様を無視するようなことしたら、いくら人気役者といえど確実にばちがあたります


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明らかに、安らかに眠れてない感がひしひしと伝わってきます。
それにしても、左下の餓鬼(?)の「あきらめ」ってのは、何なんでしょう。
死人相手に、むしろそっちこそあきらめてやれと、この役者さんに同情します。


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口上の席かと思いきや、観客は餓鬼たちです
歌舞伎役者は、天国に行くにも地獄に行くにも口上を述べさせられるんですね。大変ですね。


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八代市川団十郎の死絵。
生前もてまくっていたということがイヤでも分かります
女に囲まれすぎです。
ていうか、左の絵のおばあちゃん、本人を前にして髪をつくろうなんて、いくらなんでもあからさますぎです。
右の絵、『見立涅槃図』というのですが(“涅槃(ねはん)”についてはこちら)、こんなに女に囲まれての涅槃だなんて、お釈迦様に失礼です。しかも、なんで猫まで泣いてるんだ!


他にもおもしろいネタはたくさんあったのですが、今日はここまで…。
気になる人は、千葉市美術館へ!ちなみに、この展示だけなら200円で見れちゃいます。一見の価値ありですよ!

よく見ると どこかおかしい 追善画 (byかずみ)
posted by かずみ at 22:53| Comment(3) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ミュージアムレビュー:『イギリスの美しい本展』

かねてからずーっと行きたいと思っていた、『イギリスの美しい本展』に行ってきました☆

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(千葉市美術館HPからお借りしてきました)

4時に研修が終わって、そのまま千葉市美術館へ。初めて行ったんだけど、キレイな建物でした。すごいぞ、千葉市。

何度も何度も言ってるので、いいかげん「もぅええわ」と言われそうですが、私は本に囲まれると幸せになる人間です。それが、貴重書に囲まれてるもんだから、もぅ、ほんとにパラダイスでした(嬉)!

展示は、グーテンベルクの印刷技術が普及した15世紀あたりの本を中心に、その装飾、挿絵、カリグラフィー(日本語で何て言うんだっけ?飾り文字みたいなの)を一挙大公開、って感じで…。世界三大美書と呼ばれる、ケルムスコット・プレス印行の『チョーサー著作集』、ダヴス・プレス印行の 『欽定英訳聖書』、アシェンデ・プレスの『ダンテ全集』が全部展示されてました。すごい!!なによりその大きさと、1ページに対する装飾の豪華さにほれぼれしました。ほんとにすごい!書物に対する愛が感じられます。

やっぱり「世界三大」と言われてるものはすごかったけれど、私が個人的に好きになったのは、Walter Craneという人の本。『クィーン・サマー、あるいは百合と薔薇の騎馬試合』っていう本が展示されてて、百合、薔薇それぞれの花をモチーフにした絵がとってもキレイで、張り付くように見てました。手にとって見られる参考資料としてFlora's Feast: A Fairy's Festival of Flowers in Full Color っていう本が置いてあったんだけど、こちらもほんとに、ため息が出るくらい素敵な絵本でした。

もうひとつ、Kate Greenawayという人の本を見て、ものすごく懐かしい気分になりました。『ハーメルンの笛吹き』の挿絵は、この人だったのか!って思って…。

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(University of North Texas LibrariesのHPからお借りしてきました)

思わず、読み直しちゃいましたよ。ハーメルンの笛吹き。今読んでもなかなかにオチが怖いお話ですね。子供さらわれちゃうんだよ。ひょえぇ!…でも、懐かしい。


とにかく、ほんとに美しい本の数々…。大満足でした。
27日まで、千葉市美術館で開催してます。お時間のある方は、ぜひ!
posted by かずみ at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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