2009年10月06日

辞書に載っていない英語(知的財産編)

お仕事で、契約書の翻訳依頼を受けました(英語→日本語)。
契約書ってねー、面倒なんだよね。
なんといっても1文が長い。長すぎる。コンマやら関係代名詞やら使いまくりで、1文のくせに3行くらい使ってたりする。悪文極まりない!!!!(たぶん日本語の契約書もそうだけど…)

文章というのは、修飾やらなんやらをつけまくると、意味が曖昧になってしまいます。

日本語だって、

「大きな窓のある家」

なんて書かれたら、窓が大きいのか家が大きいのか分からないでしょ?(こういうのを言語学で『統語的曖昧性(Syntactic ambiguity)』といいます)

むしろ、契約書全体の意味を曖昧にしておいて、問題が起こったときに「いや、そこはこういう意味で書いてるんですよ」とか言って逃げる口実を作ってるんじゃないかと疑ってしまうくらいです。


さて、契約書の英語についての文句はこのくらいにして。

今日翻訳した部分に、知的財産に関する表現があったのでメモしておきます。
著作権がどうのとか、なかなか煩い昨今の状況からして、今後も使うこと間違いなし。でも、今ある辞書にはなかなか載ってないんだよね。法律関係の特別な辞書なら載ってるかもだけど。

1. Paternity(氏名表示権)
著作物の創作者であることを主張する権利のことです。要は、「これは私が作ったものよ」と主張できる権利。ベルヌ条約(1886年に制定された、著作権に関する基本条約)に明記されています。
ふつーに辞書で引いちゃうと、「父権(男子の支配権、父の有する親権/by広辞苑)」やら「父性(父として持つ性質/by広辞苑)」やらが出てきて、意味が分からなくなってしまいます。

2. Integrity(同一性保持権)
著作物及びその題号について、著作者の意に反して変更、切除その他の改変を禁止することができる権利のことです。つまり、「私が作ったものを勝手に変えたりしないでね」と言える権利のこと。日本の著作権法に書かれています。
上記の氏名表示権とこの同一性保持権は、『著作者人格権』とよばれる、著作者がその著作物に対して有する人格的利益の保護を目的とする権利の一部です。
これも、ふつーに辞書ひくと「高潔」やら「誠実」やらの意味しか出てこなくて、なんじゃこりゃってことになります。

3. Disclosure(情報公開権)
いわゆる「知る権利」のことです。
これは、disclosureが「暴露」や「発覚」などの意味を持っているから想像しやすいかもしれません。

4. Withdrawal(撤回権)
撤回をする権利のことです。そのまんまですが。
ちなみに、権利を停止することを英語で"suspense"といいます。火サスの「サスペンス」と同じつづりだからちょっと注意です。
withdrawalには、「預金の引き出し」という意味もあって、こっちのほうがよく使うと思います。

最近の契約書(ソフトウェアの利用許諾書や、サービスの利用同意書なんかは特に)には、知的財産に関する表記が多いように思います。時代の流れ?
何はともあれ、辞書見ただけれは「???」となってしまう表現は多々あって、「これじゃあ機械翻訳かけても意味分からんわな〜」としみじみ感じてしまいます。

さ、続きやろー…。


posted by かずみ at 10:09| Comment(4) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月02日

Singular theyについて

今月TOEICを受けるので、文法に若干敏感になっている今日この頃です。今日は、"Singular they"についての覚書。


日本語というのは便利な言葉で、主語や目的語が代名詞(またはそれに相当する場合)の場合は省略することができます。

A:「今日、飲み会行く?」(@)
B:「行くよ」(A)
A:「子供連れてくの?」(B)
B:「連れて行かない」(C)

という会話は、別に不思議でも何でもありませんが、@とBの発言には「あなたは」という主語が、Aには「私は」という主語が、Cにいたっては、「私は」という主語と、「子供を(彼(ら)を)」という目的語が省略されています。

普通でしょ?と思うかもしれませんが、これが英語となると、そういうわけにはいきません。
英語は、「主語も目的語もきちんと言語化されなければいけない」という大原則があります(口語では例外もありますが)。

しかも、面倒なことに、性別のわからないある特定の人物をさす場合に使える中性的な代名詞の単数形がないのです。

むずかしい言い方をしましたが、要するに、男か女かわからない1人の人間を表現する代名詞がないということです。itじゃちょっとヒドイもんね。


具体的には、

「彼はいつも、本人がいないところで陰口を言う」

という日本語を英訳する場合、

"He always speaks ill of someone when ___ is not there."

となります。
___部分に入る代名詞は"someone"が男性であれば"he"、女性であれば"she"となるはずですが、どちらかわからないときは何を使えばよいのか困ってしまいます。

"someone"を入れりゃいいじゃん、と言われそうですが、英語では「既出の名詞が直前にあるときは、代名詞を使う」ことが通常ですので、ここで"someone"を入れるのはイマイチです(文法的に間違ってるわけじゃないけど)。


さて、代名詞としては何を使いましょうか。

私が大学生のときに提出したレポートでは、たいてい"he or she"を使っていましたが、最近"Singular they"というものがあるということを学びました。

"singular"とは、「単数形の」という意味です。つまり、"Singular they"とは、単数形扱いの"they"
"they"は本来2人(つ)以上を指す複数形ですが、これを「性のわからない単数形のものの代名詞」として使える、ということです。

先ほどの例文でいうと、___部分にtheyを入れて

"He always speaks ill of someone when they are not there."

となるわけです。便利!


ところで、この"Singular they"、その実態は単数(="someone")であるものの形態は複数形。
ですから、上記の"they"の後にくるbe動詞は"is"ではなく"are"となります。


wikipediaでもこの件について解説していますので、興味のある方はぜひ。ただし、今のところ日本語化されておらず、言語学の専門用語なんかもごちゃごちゃ出てきていますので、ちょっと難しいかもです…。
URL:http://en.wikipedia.org/wiki/Singular_they
posted by かずみ at 13:46| Comment(0) | 語学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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